障害年金の大前提 保険料の納付要件について
障害年金を受給するための要件を、障害基礎年金で見てみましょう。まず大前提として、きちんと国民年金保険料を払っている、もしくは保険料の免除や納付猶予の手続きをしているということが条件となります。この条件を「保険料の納付要件」と言います。
保険料の未納があまりにも多すぎると「保険料の納付要件を満たさない」つまり「障害年金の請求がそもそもできない」といったことも起こり得るので注意しましょう。
保険料の納付要件について、もう少し詳しくみていきたいと思います。
まずは「初診日」が基準となります。初診日とは、その障害の原因となった病気やケガで、初めて医師等の診療を受けた日のことを言います。
初診日の前日において、20歳になった月から初診日の2カ月前までの期間のうち、保険料の納付、免除、猶予の期間が2/3以上あれば保険料の納付要件はクリアできます。
では、もし未納が多すぎた場合はもうだめなのでしょか?
実は未納が多すぎる人の救済措置で「保険料の納付要件の特例」というものがあります。
その特例とは次の通りです。
初診日が2026年4月1日前までであれば、初診日の前日において、初診日の2カ月前までの直近1年間に未納期間がまったくなければ納付要件はクリアできます、というものです。
ただし、通常の納付要件と特例には注意すべき点があります。それは「後出しはダメ」というものです。
キーワードは「初診日の前日において」というところ。
例えば医師等の診療を始めて受けた後、未納が多すぎることに気がついた。慌てて保険料をさかのぼって支払えるだけ支払った、といったようなケース。
この場合、初診日以降に保険料を支払っているので「初診日の前日時点では未納状態でしたよ。保険料を後出しで支払ってもダメですよ」となってしまうのです。
「この期間の保険料はいつ支払ったのか?」といったものは、すべて国で記録、管理されていますので、残念ながら嘘や言い訳は一切通用しません。
なので、初診日より前に未納状態を何とかしておかないと、保険料の納付要件がクリアできなかった、という最悪のケースも起こってしまう可能性もあります。
少なくとも特例の方くらいはクリアできるように、初めて病院に行く前に未納状態を解消しておくようにしておきたいものです。
なお、20歳になる前に医師等の診療を受けた人もいることでしょう。
国民年金の保険料を払うのは20歳からですので、この場合は保険料の納付要件は不要になります。納付要件以外の条件をすべて満たせば、初診日が20歳前の人でも20歳以降に障害基礎年金を受給することができます。
障害厚生年金は、初診日に厚生年金に加入していた人が対象です。その後に退職していても障害厚生年金の請求をすることになります。
厚生年金に加入していれば、給料から年金の保険料が天引きされるので、未納状態といったことはありません。ただし入社してすぐの人は、大学生の頃は何もせずに未納状態だった可能性もあるので注意が必要です。その場合は「初診日の前に」さかのぼって学生の納付猶予(学生納付特例)の手続きをしたり、未納分を支払ったりしておきましょう。なお、学生納付特例の手続きや未納分の支払いの時効は2年です。2年を過ぎると何もできなくなってしまうので、早めに手続きをしておきましょう。