ご挨拶&設立の意図

親亡き後の生活設計となる「サバイバルプラン」の作成をおすすめしています

 

働けないお子さんをお持ちのご家庭から、「親亡き後の生活設計」に関するご相談を受け始めて、20年近い歳月が流れました。

今では〝ひきこもり〟という言葉を聞けば、お子さんがどのような状況にあるのか理解されるようになっています。
ですが、ご相談を受け始めた当初の私は、働けないお子さんの生活についてのご相談に乗りながらも、それが〝ひきこもり〟の状態だということを、きちんと理解しておりませんでした。
ご相談を受けながら「働けないだけではなく、家から出られないのは、いったいどういう精神状態なのだろうか」という、不思議な感じをぬぐえなかったのが事実です。

〝ひきこもり〟という言葉が理解されるようになったことは、ひきこもりのお子さんの数が増えている現実を表すだけではなく、ひきこもりの状態から抜け出せないまま、お子さん自身が高齢化している現実も意味しています。
私自身は金銭面のアドバイザーなので、ひきこもりの状態改善などのアドバイスはできませんが、実際、私がご相談をお受けした〝お子さん〟の中には、すでに60代に入られた方もいらっしゃいます。
ひきこもりのお子さんの高齢化は、ますます進展するものと危惧しています。

〝ひきこもりのお子さんの高齢化〟というと、就業は絶望的であり、お子さん自身の生活設計など立てられないと考えるのが一般的かもしれません。
とはいえ、実際に、高齢化したひきこもりのお子さんをお持ちのご家庭から生活設計のご相談を受けていて感じるのは、お子さんが高齢化する=お子さんの余命が短くなるため、親御さんが遺すべき貯蓄は少なくてすむようになります。
実際にご相談を受けていると、特に資産家でないご家庭であっても、生活設計が立てられるケースはたくさんあることです。

 

親亡き後の生活設計を提案する私のアドバイスは、親御さんたちの中で「サバイバルプラン」と呼ばれています。お子さんが生き抜くための方法を、親御さんと一緒に模索することから、このような名前がつきました。
「私が死ぬときは、この子も道連れにしていくしかない」
ひきこもりのお子さんをお持ちのご家庭からは、そのような言葉を耳にする機会も少なくありませんが、親子無理心中を考える前に、お子さんが一人残された後でも、なんとか食べていけるような生活設計=サバイバルプランを検討してもらいたいと切に願ってします。

もちろん、すべてのご家庭にサバイバルプランが成り立つなどと、夢物語のようなことは申し上げられません。
中には、親亡き後は、生活保護の申請が必要なケースもあるでしょう。
ですが、仮に生活保護を申請するとしても、「誰が申請時に同行するのか」「公共料金の支払いがストップしないために、今からできる手続きはないか」など、事前に考えておきたいことはたくさんあります。

ひきこもりの状態が長引くほど、親御さん自身も高齢化していきます。
お子さんの生活設計を立てたくても、親御さん自身が要介護状態になってしまうかもしれません。
今日や明日の生活に困るわけではありませんから、「もう少し子どもが年を取ったら考える」などと、先送りにしがちなのもよくあることですが、お子さんが40代を迎えたら1日も早く、サバイバルプランを立てていただきたいと考えます。

親亡き後のお子さんの生活を守るためにも、親御さん自身が少しでも安心材料を見つけるためにも、目の前にあるお金のが現実について、勇気を持って目を向けて欲しいと願っております。

平成25年9月吉日
ファイナンシャルプランナー  畠中 雅子