ご相談のご家族の傾向

私たち「働けない子どものお金を考える会」は立ち上げから6年が経過しました。
その間、ひきこもりや障碍などで収入を得られないお子さんを抱えるご家族のご相談を多く受けてきました。
ここでは、私たちが受けているご相談の傾向をご紹介いたします。

件数が限られている上に、有料のご相談を希望されたご家族ですので、必ずしも全国的な平均値と同じではありません。
ただ、将来に対する不安、資金的な悩みを抱えているご家族のおおよその傾向がつかめるのではないかと考えます。

なお、分析の対象は「ご相談のご依頼があったものすべて」としていますので、実際のご相談に至らかなったものも含まれます。また、分析の判断がつかないものは除いています。なにぶんにも、正確な調査ではありませんので、おおよその傾向をつかむ目安とお考え下さい。

 

<ご相談のご依頼をした人>

私たちは、ひきこもり、その他働くことができないお子さんが、親亡き後も生活していけるように資金計画を立てるお手伝いをしています。
当然のことながら、ご両親からのご相談が多いものと考えていました。
ところが、これまでのご相談のご依頼の傾向を見ると、意外な結果となっています。

 

 

ご本人

父親

母親

兄弟姉妹

その他

割合

15%

16%

23%

42%

4%

 

父親と母親を合わせると39%ですが、ひきこもりや障碍のご本人の兄弟姉妹にあたる方からのご相談が、ご両親よりも多くなっています。この点は、私たちも予想しない結果でした。

実際に相談を受けていても、働けないご兄弟姉妹の将来を心配してご相談のご依頼をされるケースが多いと感じています。ご兄弟姉妹の方は、すでに実家からは独立していて、結婚して別の家庭を持っている人がほとんどです。親亡き後に一人で暮らしていけるのかを経済的な面から確認したいという希望が多くあります。また、将来の相続のことを心配してご相談を依頼されるケースも少なくありません。

私たちのご相談のお申込みは、基本的にこのサイトで受け付けています。そのために、親に代わって子がネットで見つけて、申し込みをしたというケースが多い傾向はあります。親の年齢が高くなっており、子ども(ひきこもりや障碍ではない子ども)が動かざるを得ないという状況もあります。

ちなみに、「その他」は、兄弟姉妹の配偶者となっています。これも、兄弟姉妹に含まれると考えてもよいでしょう。

 

 

割合

4%

21%

4%

14%

 

兄弟姉妹42%の内訳です。(四捨五入の関係で、合計が42%になっていません。)姉と妹が多いのがわかります。女性の方が、兄弟姉妹の将来に不安を感じ、具体的な対応を行う傾向があるようです。ご本人の上(兄と姉)か下(妹と弟)よりも、男女の方が影響しているようです。

 

<ご本人と親の年齢>

資金計画シミュレーションの作成のために、具体的な年齢を伺うこともありますが、ご相談によっては、はっきりした年齢を伺わなかった場合もあります。ここでは60代の方は65歳、70代の方は75歳として平均値を求めました。そのため、あまり正確ではありませんが、おおよその傾向はつかめるでしょう。

 

 

ご本人

父親

母親

平均年齢(推定)

41.5歳

70.3歳

69.3歳

 

「8050問題」(80代の親が50代のひきこもりの子を養っている状況)と言われて久しくなりますが、親子どもども高齢化が進んでいるのがわかります。

若い世代でひきこもりがないわけではありません。私たちに、将来の家計の状況の相談を依頼されるのが、ある程度の年齢になってから、という傾向があります。

ご本人がまだ20代ぐらいだと、いずれ回復して、ご本人が働けるようになり、経済的な問題が解消される、と思いがちです。希望も含んだ推測です。けっしてそれが悪いわけではありません。このぐらいの年齢であれば、状況が改善して就業に結び付く可能性は小さくありません。それだけを考えて努力するのも悪いことではありません。

私たちは、「親亡き後も、働かないで生活をしていけるか」ということを考え、資金計画を作成します。しかし、それはご本人の回復を諦める、ということではありません。「生涯、働かないでも暮らしていける」方法も考えておいておきましょう、ということです。ご本人が少しでも収入を得られるようになれば、状況は改善するわけですから問題はありません。むしろ、「生涯、働かないでも暮らしていける」と安心することで、ご本人の安心につながるケースもあると考えます。それが厳しい場合は、それ相応の改善策を検討することができます。ご本人がまだ若いうちに、将来の家計状況を考えておくことは大切な意味があるでしょう。

ご相談に来られる方の年齢層は実にさまざまです。比較的若い方もいれば、ご本人が60代、親は90代という方もいます。ご本人が50代、親が80代という「8050問題」に相当するご家族も多くなっています。

この年齢になると、ご本人の就労はなかなか難しいのが現状です。具体的に「生涯、働かないでも暮らしていける」方法を検討しなければなりません。ほとんどの場合、ご両親とも年金収入しかありませんので、貯蓄を取り崩しながらの生活の方も多いかと思います。ただ、ご本人の年齢が高いということは、ご本人の余命(平均的にあとどれくらい生きるか)はそれほど長くなく、資金計画は割りと立てやすくなります。今後の収支の予定は、不確定要素が少なくなりますので、より正確にシミュレーションをすることができます。

ご本人がまだ若いうちでも資金計画は大きな意味を持ちますし、年齢が高くなってからでも十分に効果があります。まずは、漠然とした将来の不安を取り除くことから始めましょう。