ひきこもりの家族会で講演をする機会がよくあります。私たちはファイナンシャル・プランナーですので、お話する内容は、ひきこもりの子どもの生活設計など、お金に関することが中心になります。
障害年金を受給しているか
その際、難しいのが、お子さんが障害年金を受給しているご家族と、そうでないご家族の両方がいることです。ひきこもりのお子さんのほとんどは、仕事での収入がありません。その点は共通していますが、障害年金についてはそれぞれ状況が異なります。
障害年金を受給しているかいないかでは、資金状況が大きく違います。今の収入が違うだけでなく、将来の状況にまで影響してきます。もちろん、受給している方が経済的には良くなります。
障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」に分かれます。
障害基礎年金の対象になる人は、その障害で初めて医師等の診療を受けた日が次のいずれかに当てはまる場合です。
・国民年金加入中
・20歳前
・日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の人で年金制度に加入していない
障害基礎年金は障害の程度によって1級と2級に分かれていて、金額は2級が年額78万1,700円、1級はその1.25倍の年額97万7,125円です。(2020年度)
障害厚生年金は、その障害で初めて医師等の診療を受けた日に厚生年金に加入していた人が対象で1級から3級まであります。金額はお勤めしていた期間の収入額などによって決まります。お勤めの人またはお勤めしていた人は、条件に合えば、障害基礎年金と障害厚生年金の両方がもらえます。
また、次の条件をすべて満たせば、障害年金生活者支援給付金が上乗せされてもらえます。
- 障害基礎年金を受けていること
- 本人の前年の所得が462万1,000円+扶養親族の数×38万円以下であること
給付金の額は次の通りです。
障害等級が2級の場合 月額5,030円(※)
障害等級が1級の場合 月額6,288円(※)
※いずれも2020年度の金額
本人の所得が462万円を超えることは稀ですから、ほとんどの人が給付金も合わせてもらえることになります。
仮に障害基礎年金の2級が認められた場合、いくらもらえるのでしょうか?
障害基礎年金の2級は年額で約78万円、月額にすると約6万5,000円です。
さらに障害年金生活者支援給付金が月額約5,000円。合わせて月額約7万円の収入になります。
月額約7万円で生活をしていくのは厳しいでしょうが、それでも生活の支えになることは確かです。障害年金は、条件に該当していれば一生もらえますので、10年間で840万円、20年間では1,680万円になります。障害年金を受給できるかいなかで、将来大きな違いとなることがおわかりいただけるでしょう。