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家計改善の考え方②-固定費と変動費

家計を改善する方法として、効果が確実で失敗がないのが支出の削減です。ところが、「なかなか難しい」という声をいただくことが少なくありません。そこでご相談者にどのような削減をしたか聞いてみると、「家計の見直し」のポイントが見えてきました。

Aさんはスーパーでの買い物で、ムダ遣いをやめるように心掛けたそうです。それまでは気軽に買い物かごに入れていましたが、いちいち吟味してできる限り購入を抑えるようにしました。その結果、レジでの支払いが10%ぐらい減少しました。しかし年間の支出に変化はなかったそうです。Aさんいわく「いつも節約をしているとストレスが溜まって、たまに衝動買いをしてしまうんですよね」。

Bさんはそれまで使っていたスマホを格安スマホに替えました。料金は、以前は月額6,000円前後でしたが、4,000円程度まで引き下げることができました。毎月2,000円の節約は、確実に続いていきますので、数年も続けばけっこうな金額になります。Bさんいわく「解約などの手続きが手間でしたが、その後の使い勝手は悪くありません」。

「家計の見直し」というと、たいていの人は毎日の買い物で節約をしようとします。手軽に始められ、すぐに効果が表れますが、長続きさせるのが大変です。日常の食費などは、毎月金額が変わる変動費と言えるでしょう。削減しやすいのですが、常に忍耐を伴います。

それに対して、銀行口座からの引き落としなどで毎月定期的に発生する支出は固定費と言えます。こちらは削減をする際に、手続きなどの手間がかかりますが、一度実施をすると、その効果が長く続きます。あまり使っていないスポーツクラブの退会やケーブルテレビの解約なども同様です。

もちろん、いつも都合よく固定費を削れるとは限りませんが、なにか減らせるものがないか検討してみることは大切です。少なくとも、毎日の食費で節約をするよりは優先して取り組むべき、見直しポイントだと考えます。

2021.4.5記

家計改善の考え方①-経常と特別

働けない子どもをお持ちのご家族に限らず、多くのご家族の家計相談を受けています。基本的に私(村井)によるご相談の受け方は、今の状況を伺って将来の状況をシミュレーションする分析手法です。
将来の家計状況をシミュレーションすると、現在は問題なくても、将来に状況が厳しくなるケースは少なくありません。特にお子さんが働けない場合は、ご本人に収入がない前提でシミュレーションしていきますので、貯蓄が不足してしまうことが多々あります。そのような場合は、なんとか家計の破たんを回避できるように、改善策を検討します。
家計の改善策にはいろいろな方策がありまずが、大きく分けると、3つになります。
① 収入を増やす   ② 支出を減らす   ③ 資産を増やす

このうち、「① 収入を増やす」は、効果は大きいのですが、簡単にできるわけではありません。働けないお子さんが働けるようになり、収入が得られるようになると、家計は改善しますが、期待だけでは正しい分析になりません。(シミュレーションの中で、その可能性を検討することはあります。)

「③ 資産を増やす」もできれば楽ですが、簡単なことではありません。この方法をお勧めするファイナンシャル・プランナーも少なくないのですが、これをやると、逆に資産を減らしてしまうリスクも抱えることになります。資産運用で資産が減ってしまった場合も十分に考慮しておかなければなりません。

「② 支出を減らす」は、〝節約〟をするわけですので、苦痛を伴いますが、もっとも安全確実です。資産運用では失敗して資産を減らしてしまうこともありますが、節約では失敗して支出が増えてしまうことはありません。節約したら節約しただけ、確実に財産が増えることになります。

というわけで私のご相談では、「② 支出を減らす」を中心に、「① 収入を増やす」と「③ 資産を増やす」も含めて改善策を考えます。

もっとも「② 支出を減らす」といっても、やみくもに「節約!節約!」と思っても、なかなか家計を改善する状況にはなりません。どこから手を付けていけばいいのでしょうか。

家計の支出を振り返ると、「毎月の経常的な支出」と「不定期な特別の支出」に分けられます。「毎月の経常的な支出」は、毎月発生する支出で、食費や水道光熱費、電話代などです。「不定期な特別の支出」は、家電製品の購入や、旅行の費用、時々支出する被服費などです。レジャーの支出でも、近くのショッピングセンターでの外食などは「毎月の経常的な支出」になりますし、年に1~2度の家族旅行なら「不定期な特別の支出」になります。ですから、厳密な区分けはなく、感覚的に分けていただいたので構いません。
ご相談の際には、シミュレーションをするために現状の家計支出を伺います。すると、たいていは「毎月の経常的な支出」については比較的正確に金額をお答えいただけるのですが、「不定期な特別の支出」についての漏れが多くなります。年に1~2回だったり、数年に1回ということもあります。しかし、金額が大きいことが多いので、これが抜け落ちてしまうと、正確なシミュレーションができません。将来の予想が、実際の状況よりもかなり良くなってしまいます。

詳しく伺っていくと、「ああ、そう言えば。。。」と支出が思い出され、実際の支出に近づいていきます。

家計の改善策を考える上では、この「不定期な特別の支出」をどう節約するかが重要なポイントになります。「毎月の経常的な支出」の削減から考える人が多いのですが、私は「不定期な特別の支出」の削減から考えていただくようにお話しています。その理由は

  1. 金額が大きいことが多い
  2. 具体的な改善点が明確で効果が表れやすい

ということにあります。
海外旅行、自動車の買い替え、自宅の修繕。。。

これらはいずれも数十万円から数百万円もします。この頻度を減らして、1回でも回数を少なくすれば、それだけで数十万円~数百万円が節約できます。毎日、節約に励んでも、それほど大きな金額にはなりません。
楽しみをまったくなくすわけではありません。その頻度を減らすだけで、大きな節約効果があります。

ただ、お子さんが働けないご家庭では、「不定期な特別の支出」自体がほとんどなく、ここで改善する余地がない場合も少なくありません。その場合の改善策は。。。次回にご紹介いたします。