「生活費」タグアーカイブ

将来まで家計が破たんしないポイント

お子さんが働けない場合は、ご両親の収入で生活していくことになります。親が高齢になってもご健在なうちは、親の年金で生活しているケースが一般的です。そして、親亡き後は親が遺してくれた資産を取り崩して生活していくことになります。

ご本人が65歳になると、ご本人に年金が支給されるようになりますが、国民年金だけでは生活していくのは難しいです。ご本人の老後まで、親の資産をできるだけ残して、生涯を全うできるようにしたいものです。

貯蓄が不足して、生活費もままならないようであれば、生活保護の申請も検討したいところです。しかし、それは最後の手段であり、できればご自身の貯蓄を使って生活していきたいものです。

そうなると、子どもが85歳から90歳ぐらいまで貯蓄が維持できるようになる必要があります。一般に平均寿命は、男性は80歳ぐらい、女性は87歳ぐらいと言われていますが、実際はもう少し長く生きることを想定しておかなければなりません。何歳まで生きるかは誰にもわからないからです。

このように言うと、「働かないで生きていく、なんて親が資産家でもなければ無理なのではないか」と思われる方も多いと思います。確かに、ある程度の貯蓄を遺してやらないと難しいのですが、意外となんとかなるものです。けっして「資産家」でなければ難しいということはありません。私たちは、働けないお子さんが、親亡き後も賄えるかをシミュレーションすることが多いのですが、「余裕で生活していける」とはいかなくても、「工夫次第でなんとかなりそうだ」というケースは少なくありません。

子どもの85歳までを考えるとしても、かなりの長時間となります。今、子どもが50歳だとしてもあと35年間あります。子どもが30歳であれば、55年間となります。(私たちは、このような長期間の家計シミュレーションをしています。)

分析を続けているうちに、あることに気がつきました。このように長期間の分析では、現在の時点での貯蓄額の多い少ない、ということより支出の状況によって将来の状況が大きく異なってくる、ということです。貯蓄の残高よりも支出の多寡のほうが、将来の家計状況に影響を与えるのです。

現時点での貯蓄額が多くても、支出が多いと、貯蓄の減り方が大きく、遅かれ早かれ貯蓄が枯渇してしまいます。そして30年~50年という長期間では「不足額」がかなりの金額になってしまいます。

一方、現時点での貯蓄額が少なくても、支出が少ない場合は、貯蓄の減り方が小さく、長い間貯蓄が維持できます。お子さんが80代、90代になっても貯蓄が枯渇する心配が少なく、長生きしても不安がなくなります。

では、支出を抑えるポイントはどこでしょうか?
私が多くのご家庭の分析をして感じるポイントは次の2点です。

  1. ご家族の生活スタイル
  2. ご本人の金遣い

ひきこもりのお子さんがいるご家庭は、比較的生活スタイルが堅実なご家庭が多いです。お子さんがご自宅に閉じこもっていると、なかなか旅行にも行きづらいですし、趣味にお金をかける気にもなりにくいでしょう。しかし、日常の買い物や自家用車の買い替えに資金をつぎ込んでいる場合は、収入が多く、資産が多いご家庭でも要注意です。支出することが生活スタイルになってしまっています。

お子さんのほうもあまりお金を使わない傾向があります。部屋に閉じこもっており、あまりどころかほとんど支出をしないお子さんも少なくありません。それはそれで望ましいことではありませんので、ある程度は使ってくれた方が安心です。外に出る、人と交わるということはお金も使うことになります。「お子さんにお金を使わせるために、あえて多めにお小遣いを与えた方がよい」という専門家の方もいます。

しかし、浪費癖があるようでは問題です。あまり活動的でないお子さんでも、金遣いが荒いケースはあります。ネットでなんでも購入できる時代ですので、すぐにいろいろなものを買ってしまうひきこもりのお子さんもいます。購入すること自体がストレス発散になってしまうと、際限がありません。

「生活スタイル」や「金遣い」は習慣的なものですので、これを変えるのは簡単ではありません。時間をかけて、少しずつ直していくことが大切です。