ご相談事例

ご相談の事例をご紹介いたします。

※ご相談者様のプライバシー保護のために、年齢や状況を変えて、複数の事例に基づいて作成しています。

【ご相談の内容】

ご相談者は、60代の女性で、ひきこもりのお子さんは40代の長男。
中学生の頃にいじめに合い、その後不登校となりました。
不登校になってからはほとんど家から出ることもなく30年以上ひきこもりの生活を送っています。

夫は2年前に他界し、現在はご相談者と長男のふたり暮らし。
もう一人の子供である長女は既に結婚し近隣に住んでいます。
長女とはまめに連絡をとっており、ひきこもりの兄のことを気にかけてくれているようです。

長男は、昔から暴言はあったのですが、父親が他界してからはさらにひどく、部屋に閉じこもりがちになってしまいました。

「私が生きている間はよいのですが、その後のことが心配で。。。
息子は一人で生きていくことができるのでしょうか?」
とご相談にこられました。

 

【アドバイス】

①ご長男にお金の話をする

お話をよく伺うと、ご長男の暴言には 『将来のお金』 に関するものも多くみられました。
つまり、ご長男は母亡き後の将来のお金(生活費)の不安を紛らわせるためにお母様にきつく当たっている可能性もあると考えられます。

graph1ご相談の際に収入や支出、親御さんの財産を伺い、それらをふまえて将来のお金の見通しを立てました。
すると、ご長男が平均余命で亡くなるまでに貯蓄が残ることがわかりました。

なお、ご長男は将来自分が亡くなるまでにお金が底をつく可能性が少ないことはまったく知らされていないとのことでした。
まずはご長男を安心させてあげるためにもお金の話はぜひ伝えてあげてください、とアドバイスをいたしました。

 

②もしものことを考えておく

まだお母様であるご相談者様はお元気ですが、もし万が一のことがあっても、ご長男が困らないように、今からできる準備をしておきたいものです。

例えば、光熱費などの引き落とし先をお母様の口座からご長男の口座に変える、母亡き後のご長男の住まいの見通しを立てておく、などです。

相続に関しては時間をかけて準備したいところです。
今回のケースではご長男が平均余命で亡くなるまで貯蓄は残りそうですが、それは不公平な相続があってのこと。
持ち家や母の終身保険、貯蓄のほとんどはご長男に相続させ、ご長女に相続できるのは数百万円の現金のみ。
ご長女も頭ではわかっていても、やはり心から納得をするのは難しいでしょう。

将来相続でご長女ともめないように、

  • お母様が動けるうちに遺言書を作り不公平な相続になってしまうことを詫びておく
  • ご長女と連絡をまめにとりたまにはご長男の様子を見てくれるようにお願いをしておく

などできるところから少しずつ行動してみてください。

 

 

③ご自宅の活用を検討する

ご相談者様の亡きあと、現在のご自宅にそのまま住み続けることができますので、ご長男の住まいの確保はできています。graph2
一方、このご自宅を活用して、キャッシュ・フローを改善させることもできます。
ご相談者様が亡くなった後にご自宅を売却して、ご長男はワンルームのマンションを購入します。
すると、2,000万円程度の資金が残り、ご長女への遺産分割をすることができるようになります。

この買換えについては、ご長女の協力が必要となります。
また、ご長男もご自宅の住み換えということで抵抗があるかもしれません。
しかし、一人になれば今のご自宅のスペースは必要ないでしょう。
お子様二人が円満に相続されるためにも、今から考えておきたい選択肢です。